転職回数の多さよりも、30代半ばで問われるもの

Yahoo!しごとカタログで、こんなお悩みを目にしました。

転職歴が多いことについて 現在34歳で現在4社目です 1社目:2年半 2社目:7か月 3社目:8年 4社目:5か月 現在、4社目ですが転職を考えています。

ご本人としては少し不安になるのだろうな…と思います。

「自分は転職しすぎなのではないか」
「次の会社の書類選考で落とされるのではないか」
「またすぐ辞める人だと思われるのではないか」

そういう不安が頭をよぎるのは、かなり自然なことだと思います。

とくに34歳という年齢になると、20代のころとは少し見られ方が変わってきます。若手としてポテンシャルを見てもらえる時期から、これまで何をやってきたのか、どんな成果を出してきたのかを問われる時期に移っていくんですよね。

ただ、それでも私は、この相談者の方に対して、「転職回数が多いからもう厳しいです」とはあまり思いません。

34歳で4社目は、インターネット業界ではそこまで珍しくない

インターネット業界では、転職回数が多い人はけっこう普通にいます。

スタートアップで数年働いたあと、規模の大きいメガベンチャーに移る人もいます。逆に、メガベンチャーで経験を積んだあと、またスタートアップに戻る人もいます。会社の成長フェーズによって求められる役割が大きく変わるので、自分の志向に合う場所を探して何度か職場を変えること自体は、それほど珍しいことではない。

なので、転職回数だけを見て「この人は根気がないな」と判断されるケースは、あまり多くないと思います。

今回の相談者の方は、3社目では8年働いています。これはかなり大きいですよね。7か月や5か月の短期離職がある一方で、8年続けた会社があるということは、少なくとも「どの会社でもすぐ辞める人」とも言い切れません。

採用担当者も、そこは見るはずです。

1社目が2年半、3社目が8年。そこだけを見れば、一定期間腰を据えて働いた経験は十分にあります。ですから、「転職回数が多いから絶対に書類で落ちる」とまで悲観しなくてよいと思います。

問題は転職回数そのものではなく、転職した理由

ただ、それなら安心だね…という話でもありません。

大事なのは、転職回数そのものよりも、それぞれの転職にどんな意味があり、次の職場で何を実現したいのかを、本人がきちんと説明できるかどうかなんです。

採用する側は、転職回数だけを見ているわけではありません。

「なぜ3社目は8年続いたのか?」
「なぜ今の会社はたった5か月で転職を考えているのか?」
「同じような理由で、また短期で辞めてしまう可能性はないか…?」

ここの説明があいまいだと、少し苦しくなります。

たとえば、「なんとなく合わなかった」「思っていた仕事と違った」「上司と合わなかった」という説明だけだと、採用側としては不安になりますよね。

もちろん、実際にはそういう理由で辞めたくなることもあるでしょう。職場の相性や上司との関係は、働くうえでかなり大事ですから。

ただ、面接の場では、それをそのまま正直に話してしまうと、「すぐ他責にする人。また同じことを繰り返しそう」と警戒されてしまうことがあります。

だからこそ、転職理由は、自分の中できちんと言語化して説明できるようにしておいたほうがよい。

自分はどんな環境なら力を出しやすいのか。次はどんな役割を担い、どんな成果を出したいのか。

ここまで整理できていれば、転職回数の多さは、そこまで致命的な弱点にはならないと思います。

30代後半からは「頑張ります」だけでは通りにくくなる

ただ、今回の相談で私が一番気になったのは、転職回数そのものよりも年齢です。

34歳ということは、まもなく30代半ばに入ります。

この年齢になると、企業側が採用応募者にもとめる期待値は少し変わってきます。

20代であれば、「まだ経験は浅いけれど、素直に吸収して伸びてくれそうだな」という見方をしてもらえることがあります。未経験領域への挑戦や多少の試行錯誤は、比較的受け入れられやすい。

でも30代半ばになると、そうはいきません。

「現場メンバーとして、言われたことはきちんとこなせます」だけでは、少し物足りなく見られてしまいます。

採用する側は、おそらくこう考えます。

この人は、自分で課題を見つけられるのか。
周囲を巻き込んで物事を前に進められるのか。
小さくてもよいので、チームやプロジェクトをリードした経験があるのか。

このあたりが問われるようになるんです。

特にインターネット企業のサービス企画職やプロジェクトマネージャーであれば、なおさらです。

仕様書を書けます。依頼された資料を作れます。

もちろん、それも大事です。

ただ、34歳前後になると、それだけではやや弱いんですよね。

「で、あなたは何を動かしたのですか?」
「どんな成果につなげたのですか?」
「誰を巻き込んで、どんな意思決定を前に進めたのですか?」

そういう問いに答えられるかどうかが、次の転職活動ではかなり重要になると思います。

小さくてもいいので、マネジメント経験を作っておいたほうがいい

ここで言うマネジメント経験は、必ずしも、部長とか課長とかの管理職としての経験でなくてもよいと思います。

少人数のプロジェクトを進行した経験でもいいんです。外部パートナーとの調整を任された経験でもいい。複数の部署をまたぐ施策で、関係者の合意形成を取りまとめた経験でもいい。

大事なのは、「自分ひとりの作業」から少し外に出ていること。

30代半ばになると、自分の手元の業務をきれいに処理できるだけでは、評価されにくくなっていきます。

なぜなら、そのくらいの役割だけなら、もっと若くて年収の低い人を採用すれば済むじゃん、というモチベーションが企業側にはあるからです。

採用する側は、どうしても人件費のコストと期待値のバランスを見ます。

34歳の中途社員を採用するなら、現場メンバーとしての作業力だけでなく、プラスアルファの働きが期待される。チームの生産性を上げるとか、プロジェクトの詰まりを見つけて解消するとか。そういう役割も少しずつ求めたくなるんです。

だから、もし今の会社でまだ転職を急がなくてもよい状態なのであれば、まずはアピールできる実績を作ることをおすすめしたいです。

いま担当している業務の中で、少しでも自分が主導できるものはないか。小さな改善でもよいので、成果として語れるものはないか。

そこを意識して、半年でも1年でも実績を積み上げてから動いたほうが、次の転職はかなり進めやすくなると思います。

「辞めたい」と思ったときほど、次に語れる材料を作る

もちろん、今の4社目がどうしても合わないことも考えられます。

入社して5か月で転職を考えているということは、それなりに違和感があるのでしょう。仕事内容が合わないのか、人間関係なのか、会社の方針なのか。そこは詳しく分かりませんが。

ただ、ここで何も実績を作らないまま辞めてしまうと、次の転職活動は少し苦戦すると思います。

2社目が7か月、4社目が5か月。

この2つの短期離職が並ぶと、採用側はやはり気にします。

「今回だけは違います」と口で説明するだけでは、やや弱いんです。

だからこそ、可能であれば今の会社で、ひとつでも「これは自分がやりました」と言える実績を作ってから動いたほうがよいと思います。

「嫌だから辞めます」ではなく、「ここまでやって、次はこういう環境でさらに力を伸ばしたいです」と言えるようになる。

この差は、けっこう大きいんですよね。

いま考えるべきなのは「自分は転職しすぎたのか」ではなく、「次の会社に、何を持っていけるのか」なのかもしれません。